合意形成とは、表面的な「賛成、反対」の奥にある真の関心事項を関係者から聴き、全ての関心事項を満たす提案を創り上げていく、前向きな話し合いのプロセスです。関心事項を丁寧に整理分析して柔軟に考えれば、誰もが合意できる様々な選択肢を発見することができ、「選択肢は無数にある」と言えます。合意形成のノウハウは公共事業等の社会的課題のみならず、企業・団体の会議、まちづくり、家庭内の話し合い等様々な場で活かすことができます。
ことばの定義
合意 利害関係者(影響を与える人、受ける人)が満足、少なくとも納得できる状態
合意形成 利害関係者が合意を目指して行う前向きな話合いのプロセス
社会的合意形成 社会的な課題に対して行う合意形成
大切なこと
賛成・反対という主張ではなく、その裏にある理由(利害や関心)を聴き、それらを満たす提案をしあうこと。
合意形成の基本形
① 何についての合意形成か?
② 意思決定者(=責任者)は誰か?
③ 利害関係者は誰か?
④ 利害関係者全員の利害や関心ごとは?
⑤ ④を全て満たす提案は?
⑥ 全員が満足、少なくとも納得できる案ができたとき、合意に至る。
※合意に至らない場合もある。
身近な合意形成
合意形成は、家族や友達、職場の同僚など身近な人たちと、長期間にわたって互恵関係を築きたいときにも活用できます。 例えばこんなとき、あなたならどう合意形成しますか? 研修の後、懇親会に行くことになったのですが、 どこに行くか決まらなくて・・・。
Aさん:となりの寿司屋に行こう!
Bさん:少し歩くけど、新しくできたイタリア料理屋さんはどう?
Cさん:駅前の居酒屋にしようよ。
Dさん:どこでもいいわ。
その理由を聞いてみると・・・
Aさん:近いし、胃の調子がイマイチだから、和食が食べたい。
Bさん:21時には閉店だから、早くお開きにできるわ。
Cさん:駅も近くて帰るのに便利だし、安くお酒が飲みたいな。
Dさん:とにかく早く決めてほしい!
発言の裏にある理由をよく聴き、それらを整理した上で、全てを満たす提案をします。
社会の合意形成
合意形成は、組織間、地域内、地域間、国内、国と国との意思決定の場においても、長期にわたり多数の多様な関係者と互恵関係を築きたいときに活用できます。永続的な総互恵関係を築くための考え方であり、心のあり方であり、技術であると考えています。
このような社会の合意形成は、多様な分野で必要とされています。
◆公共政策、公共事業
国や地方自治体の政策立案、計画策定、実施、評価等
道路、河川(ダムを含む)、空港、港湾等の構想、計画、事業化、維持管理等
ゴミ処理施設の立地、ゴミの最終処分場の選定等
◆地域住民の生活に影響を与える民間活動
鉄道、幹線バス、コミュニティーバス等の公共交通の整備、運行計画の作成
マンション、工場、ギャンブル施設、高レベル放射性廃棄物処分場等の立地
◆地域生活を充実させる取り組み
防災・減災活動、まちづくり活動、障害者福祉の取り組み、外国人等との共生等
商店街、町内会、こども会、女性会、高齢者の会等の取り組み
自治の仕組みづくり、まちづくり協議会の運営等
◆社会性の高い経済活動
コミュニティービジネス、ソーシャルビジネス等地域・関係者の共感を伴う事業展開
CSR(企業の社会的責任)、SR(社会的責任)におけるステークホルダーエンゲージメント